創業融資とは?【2026年版】種類と選び方をわかりやすく解説

創業融資とは、会社を作るときにお金を用意するための方法をまとめた呼び方です。「創業融資」という名前の商品が1つあるわけではありません。この記事では、これから起業を考えている方に向けて、お金を借りる相手は誰なのか、選択肢はいくつあるのか、どれを選べばよいのかという全体像・大枠を、専門用語を使わずに図解つきでわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 創業融資という名前のサービスは存在しないこと、その正体
  • なぜ普通の銀行は実績のない会社にお金を貸せないのか
  • お金を借りる相手は「国」か「民間」の2つしかないこと
  • 創業融資の選択肢は大きく分けて4つあること
  • 初めての起業ならどの2つに絞って検討すればよいか
  • 2025年に変わった日本政策金融公庫の制度名など、最新の状況
2026年版

創業融資について書かれた記事の中には、制度名や条件が変わる前の古い情報のまま更新されていないものも見られます。この記事は2026年時点の最新情報にもとづき、日本政策金融公庫・信用保証協会など公的機関の公式情報にリンクしながら解説しています。

創業融資の相談に来る方の多くが、最初に「結局どこに何を申し込めばいいのか分からない」とおっしゃいます。実は仕組みはとてもシンプルで、全体の地図さえ頭に入れば、迷わず自分に合った選択肢を選べます。まずはその地図をお伝えします。

創業融資とは?

創業融資とは、「創業融資」という名前の1つのサービスがあるわけではなく、会社を作るときにお金を用意するための方法をまとめて呼ぶ言い方です。まずは、なぜこうした特別な仕組みがいくつも用意されているのかを、身近な話にたとえながら理解しておきましょう。

たとえば、友達から「1万円貸して」と頼まれたとします。その友達がこれまで何度もお金を借りて、きちんと返してきた人なら、安心して貸せますよね。でも、初めて会った人にいきなり「1万円貸して」と言われたら、返ってくるかどうかわからず、ためらうはずです。銀行がお金を貸すときも、これとまったく同じ考え方をしています。

  • 銀行は、私たち一般の預金者から預かったお金を元手に融資している
  • もし実績も信用もない会社に貸したお金が返ってこなければ、預金者にお金を返せなくなってしまう
  • だから金融機関は、過去の決算書・売上実績・返済実績がない創業期の会社への融資に慎重にならざるを得ない
銀行が実績のない会社にお金を貸せない理由:預金者から預かったお金を貸しているため焦げ付くと預金者に返せなくなる

だから「創業融資」という仕組みが必要になる

しかし、これでは実績のない人は誰も起業できなくなってしまいます。そこで、国が運営する日本政策金融公庫や、信用保証協会が保証を付ける民間融資など、実績がなくても挑戦できる資金調達の仕組みが用意されています。これらをまとめて「創業融資」と呼んでいるのです。

創業融資は「誰から借りるか」で2つしかない

創業融資は種類が多くてわかりにくいと思われがちですが、「誰からお金を借りるか」で考えると、実はたった2つしかありません。

創業融資の借り手は2つだけ:国(日本政策金融公庫)と民間金融機関(信用金庫・銀行など)
創業融資の借り手は2つだけ
  • :日本政策金融公庫が、創業者に直接お金を貸す(「国金(こっきん)」という愛称でも呼ばれる)
  • 民間金融機関:信用金庫・銀行などが、創業者にお金を貸す

この2つのうち、「民間金融機関」からの融資はさらに枝分かれします。次の章で、実際に検討することになる4つの選択肢として整理します。

創業融資の種類は大きく分けて4つ

日本政策金融公庫の中にもいくつかの融資プランがあるなど、細かく見ればさらに枝分かれしますが、まず大枠として押さえておきたいのは次の4つです。

創業融資4つの選択肢:日本政策金融公庫・自治体の制度融資・信用保証協会付き融資・プロパー融資

1日本政策金融公庫(国)

国が運営する政府系金融機関から、創業者が直接お金を借りる方法です。正式名称が長いため、「国金(こっきん)」という略称・愛称で呼ばれることも多く、経営者や専門家の会話ではこちらの呼び方もよく使われます。実績がなくても申し込みやすく、創業融資といえばまず名前が挙がる代表的な選択肢です。

2026年版・名称が変わっています

これまで「新規開業資金」と呼ばれていた制度は、2025年3月に「新規開業・スタートアップ支援資金」という名前に変わりました。古い記事では旧名称のままのことがあるので注意してください。

日本政策金融公庫|新規開業・スタートアップ支援資金(公式)

日本政策金融公庫のしくみ:創業者と公庫が1対1で直接やり取りするシンプルな関係図

2自治体の制度融資(民間)

次の③「信用保証協会付き融資」に、都道府県・市区町村など自治体の支援(金利の補助・保証料の補助など)がさらに上乗せされたものが、この自治体の制度融資です。自治体が直接お金を貸すわけではなく、③の融資条件を自治体が後押ししてくれる、とイメージするとわかりやすいです。地域によっては公庫と並ぶ有力な選択肢になります。内容は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体の公式サイトも確認しておきましょう。

中小企業庁|金融一般支援(制度融資の仕組みの解説)

自治体の制度融資のしくみ:信用保証協会付き融資に自治体の金利・保証料補助が追加された関係図

3信用保証協会付き融資(民間)

信用金庫・銀行などの民間金融機関が融資し、その返済を信用保証協会が保証してくれる仕組みです。実際に保証を行うのは、全国信用保証協会連合会そのものではなく、お住まいの都道府県・市区町村を管轄する地域の信用保証協会(東京信用保証協会など)です。②自治体の制度融資も、土台はこの③とまったく同じです。違いは自治体の支援が付くかどうかだけで、自治体の支援を使わない(または使えない)場合に選ぶのが、この③になります。

全国信用保証協会連合会(公式)お近くの信用保証協会を探す

①日本政策金融公庫の融資を受けたあと、この③信用保証協会付き融資へ具体的にどうつなげていけばいいのかは、「公庫の融資で終わらせない!信用保証協会付き融資へつなげる資金調達の流れ」で詳しく解説しています。また、①公庫の融資をあえて完済せず取引を続けるメリットについては「公庫の融資、完済しない方がいい?折り返し融資で信用を積み上げる考え方」もあわせてご覧ください。

信用保証協会付き融資のしくみ:創業者・金融機関・信用保証協会の三者関係図

②と③は「同じ土台」でできている

③信用保証協会付き融資 + 自治体の支援(金利・保証料の補助など) = ②自治体の制度融資

②と③はまったく別の制度ではなく、同じ仕組みに自治体の後押しが付くかどうかの違いです。この関係さえ押さえておけば、2つを混同することはなくなります。

4プロパー融資(民間)

信用保証協会の保証を付けず、銀行が自らのリスク判断だけで貸す融資です。保証がないぶん審査は厳しく、実績のない創業期にはハードルが高い選択肢です。

プロパー融資のしくみ:信用保証協会を使わず銀行が創業者に直接融資する関係図
コラム

なぜ信用保証協会は、実績のない創業者を保証できるのでしょうか。実は、各都道府県などにある信用保証協会は、普通の会社ではなく「信用保証協会法」という法律にもとづいて設立された公的な機関です。それらをまとめる全国組織「全国信用保証協会連合会」も一般社団法人ではありますが、国の中小企業政策を支える公的な性格の強い団体という位置づけです。

関係をたどると、次のようなつながりになっています。

国の中小企業政策 → 日本政策金融公庫の信用保険 → 各地の信用保証協会(公的機関) → 銀行・信用金庫の融資を保証

①日本政策金融公庫はもちろん、③信用保証協会付き融資(自治体の支援が乗った②も含む)も、たどっていくとどちらも国の後ろ盾があります。創業融資の本質は、形はちがっても「国が何らかの形でバックアップしている」という点にあると言えるでしょう。

初めての起業なら、この2つに絞ってOK

4つすべてを比較する必要はありません。初めて起業する方が検討すべきは、基本的に次の2つです。

POINT
  • ① 日本政策金融公庫:実績がなくても申し込みやすく、無担保・無保証人で借りられるケースが多い
  • ② 自治体の制度融資:地域によっては金利や保証の条件が①と同等かそれ以上になることもある

なぜこの2つなのか?「無担保・無保証人」の意味は思った以上に大きい

結論

一生懸命会社を経営しても、万が一会社を潰してしまっても、社長個人が取り立てられることはない。

つまり「失敗しても、なんとかなる」ということです。だからこそ、起業に思い切ってチャレンジできるのです。①②が無担保・無保証人であることには、こういう意味があります。

①②が選ばれる理由は、金利が低いことだけではありません。「無担保・無保証人」で借りられることには、金利以上に大きな意味があります。とくに株式会社などの法人としてお金を借りる場合、この違いは「もし返せなくなったらどうなるか」に直結します。

法人は、社長個人とは別の人格として扱われます。代表者が個人保証(連帯保証人)をしていなければ、会社の借金は、あくまで会社自身の借金として扱われます。

代表者保証ありの場合

  • 会社が倒産する
  • 会社の財産では返しきれない
  • 残った借金を社長個人に請求される
  • 場合によっては社長自身も自己破産することに

代表者保証なしの場合(①②など)

  • 会社が倒産する
  • 会社の財産を処分して返済にあてる
  • それでも返しきれない分は、原則そこで会社の問題として終了
  • 社長個人の貯金・給与・自宅などに、当然に請求が来るわけではない

たとえば法人で1,000万円を借りていて事業に失敗した場合、単純化すると次のような流れになります。

会社の借金1,000万円 → 会社が支払不能に → 裁判所に法人破産を申立て → 会社の財産を処分し300万円を返済 → 残り700万円は返せないまま会社が消滅 → 代表者保証がなければ、原則として残り700万円を社長個人に請求されることはない

「会社を潰せば借金がゼロになる」というより、会社の財産で返せるだけ返し、それでも残った借金は原則そこで終わる、というイメージです。これが、無担保・無保証人で借りられる①②を初めての起業におすすめする大きな理由です。

個人事業主の場合は仕組みが違う

法人は会社と社長が別人格ですが、個人事業主は「事業主本人」が借金をしているため、話がまったく変わります。お店をたたんでも借金は自動的には消えず、借金の支払義務をなくすには自己破産に加えて、裁判所の免責許可を受ける必要があります。「法人だから」こそ成り立つ話だと理解しておきましょう。

この2つが「実績のない創業者でも挑戦しやすい」と言われるのは、金利の低さに加えて、こうした失敗したときのリスクの小ささが設計に組み込まれているからです。③信用保証協会付き融資や④プロパー融資は、①②の条件に合わない場合や、事業が軌道に乗って信用力がついてきた場合に検討する選択肢と考えておけば十分です。

次に読みたい

①日本政策金融公庫の融資プランの種類や金利は「日本政策金融公庫の創業融資、種類と金利を徹底解説」、自己資金の目安や開業資金のシミュレーションは「創業融資はいくら借りられる?自己資金の目安と開業資金シミュレーション」で詳しく解説しています。②自治体の制度融資の仕組みと選び方は「自治体の制度融資とは?仕組みと選び方をやさしく解説」をご覧ください。実際の申請から融資実行までの流れは「創業融資の申請から融資実行までの流れ」、審査に通るための準備ポイントは「創業融資の審査に通るための準備ポイント」で詳しく解説しています。また、そもそも自分の事業が融資の対象になるか気になる方は「創業融資が受けられない業種一覧」、民泊や不動産投資を検討している方は「民泊は創業融資を受けられる?不動産投資・副業との違いと審査のポイント」もあわせてご覧ください。

まとめ

創業融資とは、1つのサービス名ではなく、会社を作るときにお金を用意するための方法をまとめた呼び方です。全体像さえ押さえれば、選び方は決して難しくありません。

  • 創業融資が必要な理由は、実績のない会社に銀行が直接貸しにくいから
  • お金を借りる相手は「国(日本政策金融公庫)」か「民間金融機関」の2つだけ
  • 実際の選択肢は「①公庫・②自治体制度融資・③信用保証協会付き融資・④プロパー融資」の4つ
  • 初めての起業なら、まず①と②の2つに絞って検討すればよい
  • ③④は、①②の条件に合わない場合や信用力がついてきた場合の選択肢
  • 2025年3月に日本政策金融公庫の制度名が変わるなど、情報は常に最新のものを確認する

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