自治体の制度融資とは?仕組みと選び方をやさしく解説

自治体の制度融資の仕組みと信用保証協会付き融資との関係を示す図解
自治体の制度融資の仕組みと信用保証協会付き融資との関係を示す図解

創業融資を調べていると、「制度融資」という言葉に出会うことがあります。日本政策金融公庫とは別の選択肢として存在し、うまく使えば実質的な負担を抑えられる可能性がある制度ですが、仕組みが少し分かりにくく、知らないまま申し込む方も少なくありません。この記事では、制度融資の仕組みと選び方を、たとえ話を交えてやさしく解説します。

この記事でわかること
  • 自治体の制度融資が、そもそもどういう仕組みなのか
  • 信用保証協会付き融資と、何がどう違うのか
  • 日本政策金融公庫との使い分け方
  • 実際に申し込むときの流れと注意点

「制度融資って結局何なんですか?」というご質問を本当によくいただきます。名前だけ聞くと難しそうですが、実はすでにある仕組みに、お住まいの自治体の支援が上乗せされただけのものです。まずは、その仕組みから整理していきましょう。

自治体の制度融資は、まったく新しい制度ではない

自治体の制度融資とは、信用保証協会付き融資に、都道府県や市区町村の支援が上乗せされたものです。ゼロから作られた特別な融資制度、というわけではありません。

信用金庫や銀行が融資し、その返済を信用保証協会が保証してくれる——これが信用保証協会付き融資の基本の仕組みです。この仕組みに、自治体が「金利の一部を負担します」「保証料の一部を負担します」という形で応援を加えたものが、制度融資です。

参考

信用保証協会付き融資の基本的な仕組みについては、「創業融資とは?」の記事で図解付きで解説しています。あわせてご覧ください。

体験談:制度融資を知らずに損をしていたDさんのケース

以前、飲食店を開業されたDさんという方から、資金繰りのご相談を受けたことがあります。

「信用金庫さんに勧められるがまま、信用保証協会付きの融資を受けたんです。保証料も金利も、言われた金額をそのまま払っていました。最近になって、区に制度融資というものがあって保証料の補助が受けられると知って、正直ちょっと悔しい気持ちです」

Dさんが受けた融資自体は、決して間違った選択ではありませんでした。ただ、同じ信用保証協会付き融資でも、自治体の制度融資という窓口を通していれば、保証料の一部が補助されていた可能性があったのです。金融機関側から積極的に案内されるとは限らないため、自分から「制度融資を使えますか」と聞かないと、気づかないまま通常の条件で借りてしまうことがあります。

このケースからわかること

信用保証協会付き融資を検討するタイミングでは、通常の申し込みと、自治体の制度融資を使った申し込みの両方を比較検討することが大切です。同じ融資を受けるにしても、窓口の選び方次第で実質的な負担が変わることがあります。

制度融資の仕組みをもう少し詳しく

1登場人物は4者

制度融資には、次の4者が関わります。

  • 創業者(あなた)
  • 信用金庫・銀行などの金融機関
  • 信用保証協会
  • 都道府県・市区町村などの自治体

基本の資金の流れは信用保証協会付き融資と同じで、そこに自治体が「金利の一部を負担」「保証料の一部を負担」という形で加わるのがポイントです。

自治体の制度融資に関わる創業者・金融機関・信用保証協会・自治体の4者の関係図解

2内容は自治体ごとにまったく違う

ここが、制度融資でもっとも注意したいポイントです。制度融資は全国共通の制度ではなく、都道府県ごと・市区町村ごとに、それぞれ独自の内容で運営されています。

  • 融資限度額や対象となる事業の条件
  • 金利補助・保証料補助の有無や割合
  • 申し込みの窓口(自治体の担当課、金融機関、信用保証協会のいずれか)

これらはすべて自治体ごとに異なります。「隣の市では使えた制度が、自分の市にはない」ということも普通に起こります。必ず、事業を行う自治体の公式サイトで最新の制度内容を確認してください。

参考

制度融資には市区町村単位のものと都道府県単位のものがあり、内容も金利負担も地域ごとに異なります。実質金利の考え方や、利子補給・保証料補助が手厚い自治体の傾向については、「自治体の制度融資は市町村単位?都道府県との違いと一番お得な地域の探し方」で詳しく解説しています。

3日本政策金融公庫とは何が違うのか

日本政策金融公庫と制度融資は、しくみそのものが異なります。

項目 日本政策金融公庫 自治体の制度融資
お金を貸すのは誰か 公庫自身 信用金庫・銀行などの民間金融機関
関わる機関の数 公庫と創業者の1対1 金融機関・信用保証協会・自治体が関与
内容の違い 全国共通 自治体ごとに異なる

この2つは競合する制度ではなく、別枠として組み合わせて検討できることが多いです。公庫だけで資金が足りない場合、制度融資を追加で検討するという使い方もできます。公庫と信用保証協会付き融資を段階的に活用していく考え方については、こちらの記事でも解説しています。

参考

制度融資と公庫は、面談の進み方(回数・相手・厳しさ)も大きく異なります。両方に申し込む予定の方は、「自治体制度融資と日本政策金融公庫、面談は何が違う?」もあわせてご覧ください。

4申し込みの流れ

STEP 1 自治体の公式サイトで制度内容を確認する

「〇〇市 制度融資」などで検索し、対象条件・融資限度額・補助内容を確認します。担当窓口(産業振興課など)に電話で問い合わせるのも確実です。

STEP 2 金融機関または自治体窓口に相談する

自治体によって、申し込みの起点が「金融機関の窓口」の場合と「自治体の担当課」の場合があります。事前確認しておきましょう。

STEP 3 信用保証協会の審査を受ける

事業計画などをもとに、信用保証協会の保証審査が行われます。あわせて金融機関側の審査も進みます。

STEP 4 融資実行・自治体の補助が適用される

審査を通過すると融資が実行され、制度に応じて金利や保証料の補助が適用されます。

制度融資のメリット・デメリット

メリット

  • 金利や保証料の一部を自治体が補助してくれる場合がある
  • 地元の金融機関との関係を作りながら資金調達できる
  • 公庫とは別枠で検討できる

デメリット

  • 関わる機関が多く、公庫に比べて手続きに時間がかかりやすい
  • 信用保証料が別途かかる(補助があっても全額ではないことが多い)
  • 自治体ごとに内容が違うため、事前の確認に手間がかかる

制度融資を検討するときの注意点

よくある勘違い

「制度融資を使えば、必ず有利な条件で借りられる」というわけではありません。補助の内容や割合は自治体・年度によって変わり、そもそも対象外の業種や条件がある場合もあります。事前に必ず最新情報を確認しましょう。

  • 事業を行う自治体の制度融資を、必ず公式サイトで確認する
  • 申し込み窓口(金融機関か自治体か)を事前に確認する
  • 信用保証料がどの程度かかるのか、補助後の実質負担を確認する
  • 公庫での資金調達とあわせて、両方の可能性を検討する

よくある質問

Q制度融資と日本政策金融公庫、どちらを先に申し込むべきですか?

A

決まったルールがあるわけではありませんが、公庫は実績のない創業期でも申し込みやすく、手続きも比較的シンプルです。まず公庫で相談しつつ、並行してお住まいの自治体の制度融資の内容を確認しておくとよいでしょう。

Q制度融資は個人事業主でも使えますか?

A

多くの自治体で個人事業主も対象にしていますが、条件は自治体によって異なります。事業を行う自治体の制度内容を必ず確認してください。

Q制度融資の審査に落ちたら、公庫にも申し込めなくなりますか?

A

そのようなことはありません。制度融資と日本政策金融公庫は別々の制度のため、一方の結果がもう一方に直接影響することは基本的にありません。それぞれ独立して検討できます。

今日から確認しておきたいチェックリスト

  • 事業を行う自治体(都道府県・市区町村)の制度融資の有無を調べたか
  • 制度の対象条件・融資限度額・補助内容を確認したか
  • 申し込み窓口がどこになるか把握しているか
  • 公庫での資金調達とあわせて検討できているか

まとめ

自治体の制度融資は、信用保証協会付き融資に自治体の支援が上乗せされた仕組みです。内容は自治体ごとに異なるため、必ず事前に確認したうえで、日本政策金融公庫とあわせて検討することをおすすめします。

  • 制度融資は信用保証協会付き融資+自治体の支援という組み合わせでできている
  • 内容(限度額・補助内容・窓口)は自治体ごとに異なるため必ず個別に確認する
  • 日本政策金融公庫とは別枠として組み合わせて検討できる
  • 知らないまま通常の条件で借りてしまうケースもあるため、自分から確認する姿勢が大切
まとめ

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