創業融資はいくら借りられる?自己資金の目安と開業資金シミュレーション

創業融資はいくら借りられる?自己資金の目安と開業資金シミュレーション
創業融資はいくら借りられる?自己資金の目安と開業資金シミュレーション

前回の記事で、創業融資には4つの選択肢があり、初めてなら日本政策金融公庫と自治体の制度融資の2つに絞ってよいという話をしました。今回はその続きとして、多くの方が一番知りたい「じゃあ結局、私はいくら借りられるの?」という疑問に、日本政策金融公庫を例に数字でお答えします。自己資金の目安、飲食店・美容室など店舗系の開業資金の相場まで、具体的にシミュレーションしていきます。

この記事でわかること
  • 自己資金がなぜそんなに重視されるのか、その本当の理由
  • 自己資金の現実的な目安(借りたい金額の1/3)
  • 飲食店・美容室など、業種別の開業資金の相場
  • 自分のケースで、借入の目安を計算する方法

「自己資金は0円でも大丈夫ですよね?」と聞かれることがよくあります。制度の説明だけを見ると、たしかに間違いではありません。ですが、実際に何百件もの融資相談に立ち会ってきた実感として、自己資金がほぼ0円のまま審査に臨んで、通った方はほとんど見たことがありません。今日は、その理由も含めて正直にお話しします。

自己資金が大事な本当の理由

まず、意外に思われるかもしれない事実からお伝えします。

制度上は、自己資金の要件はすでに撤廃されている

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」の申込要件には、自己資金に関する項目がありません。以前の「新創業融資制度」にはあった「創業資金総額の1/10以上の自己資金」というルールは、今の制度にはないのです。

ここだけ聞くと、「じゃあ自己資金ゼロでも大丈夫」と思ってしまいますよね。でも、現実はそう単純ではありません。

自己資金の額は、審査の中で今も重要な判断材料の一つです。なぜなら、公庫の担当者が見ているのは「お金があるかどうか」ではなく、「この人はコツコツ計画的にお金を貯められる人かどうか」だからです。

  • サラリーマン時代に収入があったのに、まったく貯金してこなかった人
  • 「起業したい」と思ってから、少しずつでも開業資金を積み立ててきた人

この2人がいたら、どちらが「事業を計画的に続けられそうか」は、想像がつくと思います。自己資金は、その人の計画性・本気度を映す鏡として見られているのです。事業計画書にどれだけ立派な数字を書いても、自己資金がまったくないと、この「計画性」の部分で説得力を欠いてしまいます。

「制度上は不要」を鵜呑みにしない

自己資金要件が制度上撤廃されているのは事実ですが、現実的には自己資金なしで審査を通すのはかなり厳しいというのが実感です。「借りられるかどうか」だけでなく「事業を続けられる人物かどうか」を見られていると考えて、準備を進めましょう。

自己資金の目安は「借りたい金額の1/3」

では、実際どれくらい自己資金があればいいのでしょうか。目安として、融資希望額の1/3程度を自己資金として用意しておくことをおすすめしています。

POINT
  • 自己資金100万円なら、融資の目安はおよそ300万円前後
  • 自己資金200万円なら、融資の目安はおよそ600万円前後
  • 自己資金300万円なら、融資の目安はおよそ900万円前後
自己資金と融資額の目安:自己資金の約3倍が融資希望額の目安になる

あくまで目安であり、保証された金額ではない

この「1/3」という比率は、あくまで実務上の目安です。実際の融資額は、事業計画の内容・業種・過去の経験などによって変わります。できれば融資希望額の1/3程度は自己資金として貯めてから申し込むのが望ましい、という心づもりで準備を進めてください。

【業種別】開業資金はいくら必要?

自己資金の目安がわかったところで、次は「そもそも開業にいくら必要なのか」を見ていきましょう。飲食店・美容室を例に、一般的に言われている相場をまとめました。

業種 開業資金の目安 自己資金の目安(1/3の場合)
飲食店 約1,000万円前後 約330万円前後
美容室(1人サロン) 約300万〜700万円 約100万〜230万円
美容室(複数席・スタッフあり) 約1,000万〜1,500万円 約330万〜500万円
業種別の開業資金の目安:飲食店・美容室(1人サロン/複数席)の相場比較グラフ
注記

上記はあくまで一般的に言われている相場の目安です。立地・規模・内装のこだわりなどによって大きく変動します。物件が決まっている場合は、見積書をもとに具体的な金額で計画を立てましょう。

自分のケースで計算してみよう

ここまでの内容を、あなた自身の状況に当てはめて考えてみましょう。

STEP 1 開業資金の総額を洗い出す

物件取得費・内外装工事費・設備費・仕入れ費・当面の運転資金など、開業までに必要な費用をすべて書き出します。上の業種別の目安を参考にしてもかまいません。

STEP 2 今ある自己資金を確認する

通帳に履歴として残っている貯金額を確認します。タンス預金や、出所を説明できないお金は自己資金として認められにくいので注意してください。

STEP 3 自己資金×3で、借入の目安を確認する

「自己資金×3」で、無理のない借入目安を計算します。STEP1の総額に対して自己資金が少なすぎる場合は、申し込みを急がず、もう少し自己資金を貯めてから動き出すという選択肢も検討してみてください。

よくある質問

Q自己資金が0円でも創業融資は申し込めますか?

A

申し込み自体は可能です。ただし、この記事で説明した通り、審査の中で自己資金の有無は「計画性」を判断する材料として重視されるため、通過は現実的に厳しくなります。できる範囲で自己資金を用意してから申し込むことをおすすめします。

Q親から借りたお金は自己資金として認められますか?

A

そのままでは「自分で計画的に貯めたお金」とは見なされにくく、審査で説明を求められることがあります。認められるケースもありますが、贈与なのか借入なのかなど、出所を明確に説明できるようにしておく必要があります。

Q「自己資金×3」を超える金額を借りることはできませんか?

A

絶対的なルールではないため、事業計画の内容や実務経験によっては、それ以上の金額が認められるケースもあります。あくまで一般的な目安として捉えてください。

まとめ

創業融資における自己資金は、制度上の必須要件ではなくなりましたが、実務上は今も審査の重要な判断材料です。

  • 自己資金の有無は、「計画的にお金を貯められる人かどうか」という本気度の証明として見られている
  • 現実的な目安は融資希望額の1/3程度。できればそれくらい貯めてから申し込むのが望ましい
  • 飲食店は約1,000万円前後、美容室は規模により300万〜1,500万円程度が開業資金の目安
  • 「開業資金の総額 → 自己資金の確認 → 自己資金×3で借入目安」の3ステップで、自分のケースをシミュレーションできる
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